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ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「1950 鋼の第7中隊」鑑賞感想

ポスター画像

2022年9月日本公開

監督:チェン・カイコーツイ・ハークダンテ・ラム

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あらすじ:人民解放軍第7中隊の隊長伍千里は国共内戦で亡くなった兄の遺骨を自宅へ持ち帰った。程なくして彼は朝鮮半島へ出兵する。弟の万里がこっそり中隊に参加し、千里は弟を送り返そうとするが固い決意を知ってそのまま従軍させた。朝鮮の司令部へ無線機を届ける任務を遂行するため第7中隊は厳しい行軍を始めるのだが、果たして彼らは無事激戦をくぐり抜けられるのか。

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 政治的にバランスの取れた描き方がされています。アメリカが悪者だというのではなく、米中お互いの正義をぶつけ合うといった感じです。もちろん中国側の視点なのでアメリカが38線どころか鴨緑江すら越えようとしているから中国は北朝鮮を支援するに至ったという主張がなされているのですが。実際にマッカーサーは中国本土を叩くべしと進言したり暴走していたようです。

 時は1950年秋、仁川上陸に成功したマッカーサーに対抗するため中国から北朝鮮を支援する志願軍が南下するというところから本作は始まるのでした。原題は「長津湖」となっていて、朝鮮戦争における激戦のひとつとなった1950年11月27日の長津湖の戦いまでが描かれています。

 私としては米軍視点でしか見ることができず、主役の兄弟に感情移入することはありませんでした。アメリカ軍は肉やらチョコレートやらをたらふく食っているのですが、中国志願軍(政治的に人民解放軍ではない)が芋しか食っていない場面なんてざまあみろでした。でも、やっぱり中国視点なので不撓不屈の兄弟を中心として米軍が負けちゃうわけでございます。米軍が負けるといってもこの戦いで中国側も20万人近い死者を出しているので作中では中国兵が無惨な姿をさらします。

 175分、長さは感じませんが、脚本や演出はよろしくありません。油絵を見ているような絵作りと不思議な演出の本作でした。

 韓国と北朝鮮の部隊がいっさい出てきません。中国志願軍と米軍のみでお話は展開していきます。朝鮮人を出演させると政治的にまずいのでしょうか。朝鮮戦争は今でも続いていますしねえ。