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ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「大河への道」鑑賞感想

ポスター画像

2022年5月公開

監督:中西健二

原作:立川志の輔

脚本:森下佳子

企画:中井貴一

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あらすじ:千葉県香取市伊能忠敬の故郷であり、地元では忠敬を「ちゅうけいさん」と親しみを込めて呼んでいる。市役所勤務の池本は千葉県知事の発案である伊能忠敬を主役とした大河ドラマを呼び込むための主任を任せられた。そんな池本は伊能忠敬を尊敬している一人でもある。名脚本家の加藤に脚本を依頼した池本だったが、大きな問題が立ちはだかる。

 時は遡り、1818年に忠敬は亡くなった。地図は完成しておらず、弟子や高橋景保は死罪を覚悟の上で幕府に死を伏せて地図作成を続けた。幕府勘定方の密偵による調査が彼らを危機に陥れるが、地図は完成へと近づいていく。

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 現代と1818年から1821年にかけての江戸時代が交錯する物語です。

 伊能忠敬が地図を完成させる前に亡くなったことは有名な話だと思っていたのですが、作中における現代パートの人物たちはその事実に驚いています。

 地図感性の前に亡くなっているのであれば大河ドラマにできないというわけです。いやいや、そんなことないでしょう。前半を伊能忠敬の半生、後半を高橋景保を中心とした地図製作物語にしたらいいだけじゃないですか。なぜそのような脚本にできなかったのでしょうか。たいへん疑問でございます。

 高橋景保伊能忠敬の死を隠す決意をした百両の件もなかったことになっていますよね。

 ちなみに、5月18日あたりに話題になった三角関数が出てきました。三角関数はとても大切です。

 それよりも本作はもっと大きな問題があります。それは、香取市役所が千葉県知事をボスとしていることです。いやいや、香取市役所のボスは市長であって知事ではありませんよ。地方自治において、市町村と都道府県は上下関係のない同列のものでございますよ。そんなことを無視している本作にがっかりしました。

 現実は市と県に上下関係があるというのであれば、きっとあるのでしょうけど、しょうがないとは思いますが、観客に地方自治を誤解させる内容だと思います。

 知事の再選を願っている池本さんもおかしな話です。再選させるかどうかは県民が決めることですからね。

 大丈夫なんですか、この映画は。