やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「余命10年」鑑賞感想

ポスター画像

2022年3月公開

監督:藤井道人

脚本:岡田惠和、渡邉真子

・・・

あらすじ:100万人に1人から2人が発症する不治の病に冒されている茉莉(まつり)は余命10年という状況だ。ある日、故郷の同窓会に出席した。そこで、和人と出会った。ところが、直後に彼は自殺未遂した。彼に生きる気力を与えた茉莉だったのだが、病気のことで付き合おうとはしなかった。それでも和人はあきらめなかった。和人は立ち直り、一方で茉莉の病気は悪化していく。

・・・

 このような病気で死ぬ映画というのはあまり受け付けないのでございます。大ヒットしてますし、良い映画だと聞いたので、しょうがねえなあ、観に行ってみますかねえ、と舐めた態度で鑑賞しました。

 まあ、よくねえわ。なんちゃって映画のようですし、とりあえず美しく撮ってみましたという感じですし。

 家族や友人が病気で短い人生になりそうであれば、周りの皆さんは励ましたり、いろいろ看病すると思います。だけど、看病って、超たいへんです。パーキンソンとか脳出血とか寝たきりを同時に抱えるとたいへんでございますよ。だから、病人に自分の考えを押し付けたりしてしまいますよね。

 生きてほしいというのはわかるんですが、本人はかなり苦しいんですよ。早く死なせてくれって思ってたりするわけですよ。なのに必死の延命をしてしまいます。それが正解なのかどうか、私は正解だとは思いません。まあ、自分も解放されて楽をしたいというのがあるんですが。

 この映画では茉莉に周りの気持ちや常識というものを押し付ける場面があってかなり嫌悪感を抱きました。それが普通なのですが、やっぱり本人の気持ちが不在です。本人の気持ちが終盤でようやく吐露されるのですが、この場面だけは個人的な事情があって泣きました。

 和人が2度もがむしゃらに走る場面があって、踊る大捜査線の映画を彷彿とさせます。似たような場面が繰り返し流されて辟易します。本人も周りも泣いてばかりですし、映画としてどうなのかなと思います。

 和人の作った店の名前がまさかの「まつり」、これは気持ち悪い! キッショ! 和人マジでキッショ! 「まつりおいしかったね」「まつりまずかった」「まつり接客悪い」「まつり高い」とか言われるんですよ。それはそれとして、そんな彼も良い人に拾われてブラックから解放されたのはとても良いことでございます。茉莉も仕事を得ることができましたし、悪い人間が全然出てこないのはいいですね。そういえば和人が絶縁した親はどんな人間だったのでしょうね。

 あと、茉莉の家はかなりの金持ちでしょう。日暮里の近くで庭付き一戸建てですからね。金持ちだったらお金の心配をしなくていいから治療が長引いても安心ですね。

 所詮かわいそうなイケメンとかわいそうなイケジョのお付き合いでございます。しかも文才があります。そりゃあ、おめえ、周りも助けたくなりますわ。金持ちだし、文才だし、うらやましい! かなりひがんでしまいました。

 編集担当の女性がいましたけど、彼女が誰よりも貢献したと思います。作中で最大の功労者です。