2021年8月公開
監督:タカハタ秀太
原作:佐藤正午
脚本:藤井清美、タカハタ秀太
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あらすじ:直木賞受賞作家の津田は、3年前に書いた小説で訴訟を起こされていた。姿を消した彼は、高円寺のバーで働きながら編集者の鳥飼に新作を読ませていた。鳥飼は、この作品がノンフィクションではないかと疑う。富山を舞台にした一家失踪と偽札を巡る津田の新作は果たして彼の言うとおりフィクションなのか。
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原作未読です。
これは謎解きなのですか。津田による後出しジャンケンでしかないような気がします。
鳥飼はやたらとフィクションかどうかにこだわりますけど、これくらいの話だったら書いてもいいと思うのですが、思っていたのですが、あまり書かないほうがいいかもという流れになっていきました。書けば津田の身が危ないという問題ではなく、作中の人物を無用にさらけ出してしまうということです。
まあ、でも、世の中にはそういう作品がいくらでもあるわけです。やっぱり書いてもいいんじゃないですかね。
これみよがしに「シンカイ不動産」が出てきます。「シンカイ不動産」の女性社員は津田の知り合いなのだから、事件の真相は女性社員に聞いたほうが早い気がします。しかし、シンカイ不動産が物語にからむことはほとんどありませんでした。ちなみに、シンカイ不動産のカレンダーが奇妙な配置です。日曜日の欄が右端の列になっていました。そんなカレンダーが実際ありえるのでしょうか。
明かされなかった謎は、原作を読めばわかるのでしょうかね。
あっぷるぐりむというファミレスが出てきました。富山に1軒しかないのですが、長野が本拠地です。作中では、このあっぷるぐりむを左に見ながら無人駅まで車を走らせていったのですが、店を見つけられずに通過しました。それでですね、調べてみましたが、店は右に見えるはずです。無人駅というのはおそらく呉羽駅のはずですから。「左に見える」というのは、通過させるための嘘だったのかなと勘繰りました。だけど、本来は無人駅ではなく「急行の停まる駅に向かう」はずでした。富山で急行といえば富山地方鉄道です。しかし、富山地鉄の急行停車駅に向かうというのは作風からしてありえないかなと思うわけです。
富山が舞台ということで、私が泊まったことのあるホテル、駐車したことのある立体駐車場、乗り降りしたことのある電停、出入りしたことのある映画館が大きなスクリーンに出てきました。そのおかげでたいへん面白かったです。
富山弁を初めて聞きましたけど、高知弁によく似ています。てっきり、舞台は富山だけど言葉は高知に似せた架空の方言なのかなと思いながら見ていました。
富山は絵になりますなあ。立山連峰と海岸が本当に美しいのです。目視だと雪化粧した立山連峰はあそこまで間近に見えるものではありませんが、目視でも美しいのでぜひ行ってみてください。