やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画『ゲキ×シネ「偽義経冥界歌」』鑑賞感想

2020年10月公開

演出:いのうえひでのり

作:中島かずき

・・・

あらすじ:平氏が都を支配する中で源頼朝の弟である遮那王牛若は鞍馬から奥州奥華一族のもとで匿われていた。しかし、牛若は周りに暴力を奮うなど所業の悪さが目立ち、奥華の嫡男である玄久郎が諌めようとして弾みで殺してしまう。そこで奥華一族は玄久郎を牛若のふりをさせて頼朝のもとへ送り込む。奥華の兵と金を預けて、平氏打倒の協力をさせようとした。玄久郎は源九郎義経と名乗り、ついには平氏を滅亡に追いやる。戦いの中で義経は大陸からやってきた不思議な歌を歌う静歌と出会う。一方で奥華三代目当主秀衡は真の野望を抱いていたが、妻である黄泉津の方の計略で殺された。はたして、奥華と偽義経の運命は。

・・・

 新感線の舞台を映画館で上映するゲキ×シネです。映画館での鑑賞は初めてです。こちらでは特別上映ということで2000円でした。こちらの映画館の割引が適用されません。

 この舞台は、ここ最近新感線がたびたび使っている、というよりも一時期新感線専用となっていたIHIステージアラウンドで演じられたのかなと思いきや普通の舞台なのですね。客席の周りを舞台がぐるりと囲んでいる形でして、客席が回転するというものです。行ってみたい劇場です。東京にありまして駅から近いけど劇場の周りにコンビニもないらしいですよ。

 新感線は東日本が大好きですね。阿弖流為とか髑髏城とか平将門とか。今回も東北です。悲劇となる物語を舞台にするのが大好きですね。悲劇は舞台にしやすいのでしょうかね。

 生田斗真も新感線の常連になりましたね。舞台の演技もうまいですし、Cat in the red bootsも面白い作品です。

 粟根さんも河野さんもいい味を出しています。それにしても河野さんはクズ役が多すぎます。右近さんは相変わらずです。

 山内圭哉という役者もいい感じでして、新ミナミの帝王での印象が強くてけっこう気になる役者さんです。

 奥華は崇高な理念を掲げて奥州を支配しています。国だけではなく民を守ることに重きを置いています。だけど、秀衡は実はそうではなかったということでアレなことになってしまいました。その秀衡をアレにした黄泉津の方は民と国を守るために行動を起こしたはずなのに、なんだか悪いやつにしか見えません。

 というのも、奥州の民が描かれないからかもしれません。偽義経と泰衡と静歌以外全員悪いやつにしか見えない状況なのは、民が舞台に出てこないからかもしれません。奥州の民を守るといいつつ、最後の最後は「このちっぽけな国なんか出て大陸の国を支配しろ」とか言ってしまったのはいけません。義経がチンギスハンになった伝説を盛り込んだわけですが、奥州の民は結局どうでもいいのでしょうか。新感線の石川五右衛門も日本を盗みつくして海外へ飛び出しましたけども。

 ただ、チンギスハンになる伝説を新感線は絶対採用するだろうなあと思っていたので、そうきたかという感じです。

 とにかく悲劇で救いがないようなお話です。史実では頼朝もこのあと落馬して北条の時代になるわけですが。

 やっぱり新感線は面白いので、生の舞台も……