やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「人数の町」鑑賞感想

ポスター画像

2020年9月公開

監督、脚本:荒木伸二

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あらすじ:借金返済が間に合わず暴力を受けていた蒼山は黄色いツナギの男に助けられた。衣食住の満たされた謎の施設に連れていかれた蒼山は、自由だが離れることのできない生活を送った。そのうち、妹の行方を追った女性が施設にやってくる。

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年間行方不明者:87000人

年間自己破産件数:73000件

倒産:8255社

人工中絶:16万人

投票したことのない人:706万人

食品廃棄量:2700万トン

 こんな設定の町なんかあるわけないじゃないですか。でも、彼らが町の中でやっていること、町に来る前の彼らの境遇を見ているうちに、こういう町ってありえると考えるようになります。数々のSFがその設定を納得させるために苦心していますが、本作はユートピアみたいな衣食住の足りている町をたいへんわかりやすく納得させてくれました。現実なら日雇い労働者や非正規労働者がこの町の住民に近い存在ではないでしょうか。

 この町には自由があって、平和は夢じゃないというけれど、そのためにこの町がやっていることを見ていると、ああ、なるほどなあとなります。

 かといって、この映画が面白いのかというと、説明しすぎていてうんざりします。町の中でやっていることを見ていれば何がどうなっているのか、社会とどのようにつながっているのかわかると思うので、劇中で上記の『数字』を出す必要はないでしょう。

 町の住民はデュードと呼ばれていますが、サウスパークでよく耳にするセリフでした。おそらく、「おい、てめえ」くらいの意味なんでしょうかね。というわけで、本作は痛烈に社会を批判したものでした。