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ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「ワールドエンド」鑑賞感想(ネタバレ)

ポスター画像

2020年6月日本公開
監督:イゴール・バラノフ
脚本:イリヤ・クーリコフ
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あらすじ:時は近未来。ロシア連邦軍のとある基地が何者かの襲撃を受けようとしていた。その1か月前、人類社会の大部分が停電した。世界中の通信が途絶した。しかし、モスクワを中止とした半径600キロほどの地域だけは無事だった。後に生存サークルと呼ばれる。ロシア政府はモスクワにいる元軍人も含めて招集する。キーロフという都市を臨む地域に前線基地が設置されて、兵士1と兵士2は生存サークルの外である孤立地帯の調査に出向いた。スーパーマーケットでは買い物途中で突然死した人々がいた。孤立地帯はどこもそのような状態だった。回収した死体はモスクワに送り調べた。結果として自死に至る物質が体内で生成されていたことがわかる。生存者はどこにもおらず、死体が発見されずに行方不明となっている者もいることがわかった。そしてブラックアウトから1か月後、彼らの前線基地が襲撃を受けた。それは大量のクマだった。クマの数が多すぎて、死んだ兵士もいた。兵士2は負傷して女医の企てによりモスクワへ送られることになった。女医は彼に謎の包みを持たせて、ある人物へ渡すように頼み込む。
モスクワのホテルで兵士2は包みを回収しにきた青年にすぐには渡そうとしなかったがなぜかその場に兵士2の父が現れる。その父の正体は何者かが擬態したものだった。結局包みは奪われた。前線基地へ戻った兵士2は女医に「殺されかけた」として詰め寄る。女医はガン治療している妹を救う金ほしさにやったことを告白した。
前線基地ではこの事態がなぜ起こったのか調べるために孤立地帯への進入が続いた。しかし、部隊は次々と全滅していき戦車大隊も戻ってこなかった。兵士1たちも調査に出るが、マンションの並ぶ地域で崩壊した戦車大隊を発見した。また、生存していた少年を救ったら部隊長が少年によって殺された。
一方モスクワでは超能力を持った青年がいた。この事態を引き起こした原因を知るきっかけになるらしい。突如として1人の異星人が現れて超能力者と接触しようとした。そこを護衛の兵士と大佐に囲まれる。だがイドと名乗る異星人が兵士を操って、大佐は異星人から事情を聞いた。この事態は20万年前にラーと名乗る彼ら異星種族が地球にやってきて、原住生物を駆逐するため異星人と似た生物である我ら人類を生み出したとのことだ。20万年後、要するに明日、異星人の多くを乗せた移住船がやってくるのでずっと準備を続けてきたのだという。これまで人類は異星人の移住を成功させるために奴隷として働いてきたにすぎないのだという。これから先も人類は奴隷となる。ブラックアウトの原因は移住船が発した放射線によるものであり、それが侵略の第一波となる。その第一波はモスクワが月の影に入ったためモスクワだけ生存サークルになったのだという。第二波は人類や他生物の自死だ。そして、第三波は操られた人類1億6000万人によるモスクワ攻撃だという。この第三波はもう1人の異星人が指揮している。イドはそれを止めるため人類と共に行動していて、大佐にも協力を求めた。超能力者を前線基地へ連れていけば指揮者の位置を突き止められるというので半信半疑ながら大佐は作戦を決行した。
孤立地帯の調査をしている各部隊は道路を埋め尽くす大量の人間に襲われて、次々と死者を出していった。部隊の生存者は同行していた女性記者を強姦しつつ、ほかの部隊の生存者と一緒になり、大佐たちと合流して指揮者を捜索した。超能力者によってキーロフのビルの屋上にいることがわかったのでそこへ向かった。だが、超能力者は逆探知されたのでイドが彼を前線基地に残した。前線基地は攻撃を受けて壊滅した。モスクワも壊滅したという情報が入った。
装甲車3台だけとなったロシア軍はキーロフのビルを目指す。彼らの行く先を人間が埋め尽くし、爆弾を抱いた人間が装甲車へ飛び込んで1台が犠牲となった。残り2台は人間たちを轢き殺し、機関銃で掃討しつつ前進した。
ビルへ突入して、人間の波を止める兵士がビル1階に残り、あとはイドと数人が屋上を目指した。その数人の中にはイドが指名した兵士1がいた。彼には特別な力があるという。
イドが指揮者である異星人と殴り合い、なんとか倒す。屋上へたどり着いた人間は6人となった。そのあとイドの発言に反抗した者たちがイドを殺そうとするが失敗して6人の中で同士討ちした。イドは兵士1と強姦されて子供を宿した女性記者を生かそうとし、兵士1はイドがいなければ我々は終わりだと主張した。しかし、なんとかイドを倒すことに成功する。兵士1は重傷を負って、屋上で動けなくなった。
生存者は兵士2と女性記者と女医だけとなった。そこへ移住船が到着した。巨大な扉が開いたが誰も降りてこないので兵士2たちは様子を見るために中へ入った。そこには大量のカプセルが並んでいて、カプセルの中には異星人が眠っていた。すると、カプセルへ酸素が送り込まれはじめた。それを止めたらどうやら異星人は目覚めずに死ぬとわかって、3人は小銃と斧でカプセルへの供給配管を壊した。ふと、一部のカプセルは子供だとわかって彼らは破壊を止める。やがて異星人の子供が目覚めた。そして、スタッフロールだ。
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長い!
とにかくだらだらと長い!
2時間34分ですが5時間くらいに感じられてたいへんお得な映画でした。
冒頭はクマに襲われる少し前の基地から始まって、タイトルが出たら基地襲撃1か月前に遡りましたけどそんな演出はいらなかったように思います。順当にやっていけば良かったじゃないですか。基地は何に襲われたのかわからないまま1か月前に飛ばされるなんて見てるこっちはダルいだけです。
それにしても「そんなものに釣られないクマー」でした。クマが釣られていました。
タクシードライバーをやっている元兵士とその後に再会する人々を描いたり、人間の描きこみも重厚で、だらだらと長くてウザいです。
とにかく長いにもかかわらずその後のモスクワ壊滅や部隊長を殺すことになる少年の出現がセリフで説明されるのみです。ちゃんと映像で見せてくれたらいいのに。
生存サークルの外を調査する様子はまるで壁外調査ですね。異星人の奴隷となった人類が大挙して押し寄せるのも巨人みたいです。もしくはゾンビです。ただ、奴隷の彼らは調査しに来た兵士を騙すなど通常の人間でした。
もう一点ですが、舞台を近未来にした意味がないと思います。現在の兵器では表現できない演出がありましたけど、まさかそれだけのために近未来としたのでしょうか。たいへん不要でした。
あとひとつですが、邦題の「ワールドエンド」について、英題「ブラックアウト」をそのまま邦題にすれば良いと思います。
ロシア映画はこのようなだらだら展開がよくあるという評価を目にしましたが、今後の作品ではやめていただきたいものです。サクサクしてほしいです。
異星人による人類のお説教は、なるほどという感じです。異星人ラーは愛を説いたのに人類は宗教を理由にして殺し合ったという至極真っ当なお説教でした。
異星人による侵略の長い歴史と、モスクワだけとなった人類がさらにその数を減らしていく最悪の状況でございました。映像はたいへん高いレベルでした。