やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

カガワ日記 (19)

前回のカガワ日記は、

カガワ日記 (18) - やくもとうずしおをがっつりと

・・・

 カッパーリバー王国の王様がカガワを訪問したというニュースがありました。カガワから帰国した王様が訪問中の出来事を語ったのです。

 会談の席で王様はカガワ政府に対してゲームを禁止する法案について懸念を表明したそうです。席上で「インターネット禁止法の制定及び制定後の執行が政治化されることによって表現や結社、平和的な集会の自由という普遍的な価値に反している。それ以上に衣食住に続く人類の四つ目の欲求となったゲームを禁止することで多くの国民が苦しむことになるだろう。ぜひともインターネット禁止法案の取り下げをお願いしたい」と述べたのです。

 これに対してカガワの大統領は「議会で検討する」と短く返しただけだったようです。

 内政干渉になりかねないことであり異例ですが、なぜカッパーリバー王国がそんな口出しをしたのかというと、今から40年前は軍事組織がカッパーリバーの政権を担っていたことに端を発します。

 クーデターによって王様を排して政権を奪取した軍事組織でしたが、その政治がひどいものでした。経済政策は失敗してインフレが起こりました。多くの国民が飢えたのです。貧しくなったのでゲームをやることなど不可能となりました。それがますます国民を苦しめます。ゲームをできない国民はゲームの禁断症状が出て死者は10万人に達します。軍事政権はこの死者を飢えによるものだと説明していましたが食糧不足は飢え死にするほど深刻ではなかったことが国連の調査で判明しました。

 結局暴動が起こって、王政が復活することになります。経済は安定してゲーム不足は解消されて禁断症状を起こす国民は減っていきました。

 そのようなことを経験している国なので、カガワのことがとても心配になってわざわざ口出ししたのです。

 後日、カガワ議会オオデン議長が声明を発表しました。「そもそも40年前の王による政策が愚かなものであった。そのため軍事組織の台頭を許して政権を奪われてカッパーリバー王国は荒れ果てた。王の愚策が招いた失策をさも軍事組織だけの責任にして、自戒をまったくせず、言うに事欠いて我が国の内政にまで口出しするとは何様だ。我が国の大統領もそんなことを言われておきながら検討するの一言だけだったのは情けないものであり我が国の国民を顧みていない」とカッパーリバーの王とカガワ大統領を罵ったのでした。

 やれやれです。

・・・

この記事はフィクションです。