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書籍「心霊ドキュメンタリー読本」読書感想

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心霊ドキュメンタリー読本

2016年5月26日初版発行

著者:小池壮彦

発行:洋泉社

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 今回は本を紹介します。表紙写真がコケててごめんなさい。毎度のことですが、直す方法がいまだにわかりません。

 とある本を探してブックオフをうろうろしておりましたら、こちらの背表紙を発見しました。「まさか、ほんとにあった!呪いのビデオ」シリーズの解説とかやっちゃってる本ですかねということで迷わず購入です。ブックオフながらほぼ定価でした。定価1400円なのに対して税込982円です。

 実際のところはほん呪の解説はわずかでして、心霊ドキュメンタリーと呼ばれる映像作品全体を解説している内容です。

 ほんとにあった!呪いのビデオが好きでして、ずっと追いかけています。「おわかりいただけただろうか」というナレーションは皆さんもどこかで耳にしたことがあるでしょう。2019年11月27日に85巻が出ました。記念すべき第1巻は1999年に出ています。そんなほん呪シリーズで紹介される、視聴者から送られてきた映像は巻数を重ねるごとに派手さを増しています。最初のうちは「おわかりいただけただろうか」と言われても、え? ちょっとわかりません。という映像が多かったのですが、声を出してびっくりするものが出始めました。監督が川居尚美さんになってからはたいへんおとなしくなりました。原点回帰ですか?と思っていました。この川居尚美さんは44巻から演出補として携わっていますのでおそらくほん呪シリーズ最長のスタッフです。

 心霊ドキュメンタリーとは何ですか。ほん呪みたいな、ホンモノの心霊映像ですよーみたいな感じで作られた映像作品のことです。……という理解でよろしいでしょうか。

 とにかく、この本がほん呪シリーズの変遷を解説してくれたのかなと思って読んでみたらそうではなかったです。でも、めちゃくちゃ面白いので簡単に紹介します。

 著者の小池さんは怪談などの歴史を中心に研究なさっている方のようです。本作によるとどうやら映像作品の製作にも係っているようです。

 第1章のうちのはじめに「ほんとにあった!呪いのビデオ」について触れています。略してほん呪が心霊ドキュメンタリーの業界を席巻することになりました。当時話題になったことやほん呪1作目にこれまでの流れの基本があることを本書では記しています。ほん呪については見開き1ページで語ったあと、そこからはほん呪に出てくる幽霊のイメージに係わる過去の作品の解説がずらずらと続きます。心霊ドキュメンタリーが誕生する歴史が本書の大部分を占めています。

 歴史を知ることは本当に大切なことなんだなと思うわけです。本書を読むことで、心霊ドキュメンタリーが突然出現したわけではなく、その基礎となる作品が過去にあったことを本書が紹介してくれています。何事も歴史なのです。

 これらの心霊ドキュメンタリーというものは、日本だけではなくて、1970年のアメリカでもあったというあたりは面白い内容です。それらがタイトルを変えて日本に輸入されていたり。日本の映像作品に影響を与えていたりするわけです。海外の映像作品が数多く紹介されているので、見たくなってしまいます。

 面白いのは、鶴屋南北が心霊ドキュメンタリーの先駆けだという部分です。そんなところから心霊ドキュメンタリーの歴史は始まっていたのだということです。

 あと、海からのびる無数の手……ですね。こういう映像は心霊ドキュメンタリーで十八番かなというくらいありますよね。1968年の怪奇大作戦ですでにそういうのがあったそうです。はぇーってなりました。

 直近の心霊ドキュメンタリーではそのような映像がありますけども、過去の映像作品の焼き直しともいえるわけです。繰り返しますが、歴史があったということです。

 このような歴史があって、今日の心霊ドキュメンタリーが存在するのですということですが、本書ではもうひとつやたらと言及していることがあります。それはこれらの映像作品をまとめて心霊ドキュメンタリーと呼んでもいいのかどうかということです。フェイクドキュメンタリーというべきなのか、それともとりあえず心霊ドキュメンタリーと呼び続けるのかどうか。そのあたりが白石晃士監督の「コワすぎ!」という作品がフェイクだよとはっきり言った状態で世に出たことで、心霊ドキュメンタリーを心霊ドキュメンタリーだと呼んでもいいのかどうかを著者がものすごく悩んでいます。これって、どうなんでしょうか。ちなみに、本書の最後に白石監督と著者の対談が載っていますので必読です。

 さて、私も心霊ドキュメンタリーの映像作品を紹介したいなあと思います。まずは、「監死カメラ」シリーズです。これは先輩から紹介されたのですが、めちゃくちゃ面白いです。なにしろパソコンの幽霊が出てきますからね。さすが八百万の神がいる日本ですなあ。あと、菅野くんというすばらしいキャラが登場しますのでぜひご覧ください。

 もうひとつ紹介したいのは、岩澤宏樹監督作品です。岩澤さんといえばほん呪シリーズの名物監督ですね。その岩澤さんが監督として製作したものが「心霊玉手匣」シリーズです。ほん呪では演出補に冷たく接したり厳しいことを言ったりしていたのですが、心霊玉手匣シリーズではやさしいです。そのかわりめちゃくちゃ厳しいキャラがいます。とにかくこの玉手匣シリーズでは、スタッフのキャラクター性ともうひとりレギュラーで登場する女子高生のキャラクター性が秀逸です。そして、このシリーズは最後に驚愕の結末を迎えます。ぜひご覧ください。

 心霊ドキュメンタリーにも歴史はある! ではまた。