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ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「アトミックブロンド」鑑賞感想


2017年7月米国公開
監督:デヴィッド・リーチ
脚本:カート・ジョンスタッド
原作:アンソニー・ジョンストン&サム・ハート
音楽:タイラー・ベイツ
撮影:ジョナサン・セラ
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あらすじ:東西ベルリンが急激な動きを見せ始めた。そんなときにMI6のスパイを殺害された上にベルリンに潜伏中のすべてのスパイの情報が入った腕時計が何者かに奪われた。それを追うためロレーン・ブロートンが派遣された。同じくMI6のパーシヴァルはベルリンで暗躍しており、その動きに不穏な部分もあったが対立しつつも腕時計の行方を追う。KGBの脅威にさらされながら、ブロートンは任務を成功させることができるのか。
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 やや複雑なお話でございました。
 腕時計の行方を中心にして、実は腕時計の情報を丸暗記した男もいたりして、サッチェルという謎の人物を追っていくというものです。ついでに西ベルリンと東ベルリンを行ったり来たりするものですから、観ているこっちはお話を追うのがたいへんですね。
 さて、ロレーンを演じたシャーリーズ・セロンについて。MI6のスパイということは女版ジェームズ・ボンドですね。ただ、その様子というか姿勢は紳士淑女には見えません。派手ですし、男勝りでふてぶてしい態度も見えます。そして、髪がブロンドなのです。ジェームズ・ボンドは基本的に髪が黒です。ということは、生粋の英国人ではない?
 ロレーンは女を利用して男をハニートラップにはめるようなスパイではありませんでした。武闘派でした。現代の女性像ってやつですね。強い女でした。かっこいいですし、当時の衣装も似合っていて、とてもいいじゃないですか! KGBにクソ強いマッチョがいて倒しても倒しても立ち上がってくるものですから、そいつには大苦戦しました。痛々しい勝利となりましたが、そういうところもいい! とてもいい! 最近キングスマンとザ・マミーで見た女の子が出てきてロレーンと百合になったのもよろしゅうございます。
 ロレーン・ブロートン、またやってほしいですなっ! シリーズ化して、毎回違う女性と百合百合になって、絡んだ女性が死んでいく……どうですか、見てみたいでしょう。
 さてさて、ロレーンにはジェームズ・ボンドみたいに国家や女王に忠誠を誓っていてほしかったのですが、そうじゃない感じですね。そのへんは最後までご覧くださったら分かります。またまた「女はこわい」ことになってしまうのかなと思いましたけど、一応結果的には、忠実に動いていたということになります。「女はこわい」とかもう見飽きたんですわ。たまには正義に突っ走る忠誠の女を見せてほしいんですけどねえ。ただし、今作は立ち位置がよくわからなくてふらふらしているスパイたちの苦悩ってやつを描いているわけで、そもそも私の求めているキングスマンみたいな直球とはやっていることが全然違います。
 絵はオシャレでした。89年の空気を音楽や色でガンガン感じました。当時はこんな世界だったんだなあ。スプレーでタイトルをプシューってやるのもかっこいいですね。
 タイトルのアトミックですが、彼らが奪い合う情報が核に匹敵するものだというセリフが劇中にありました。それだけでは弱いですし、彼らにとっては核みたいな情報だったのでしょうけど、観ているこっちにしてみればそうは思えないのでして、タイトルは変えるべきだったのではありませんか。