やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「シン・ゴジラ」鑑賞感想 第3形態


「何でまた観るんだ」
「こりゃあ大事になるぞ」
 だって、シン・ゴジラのサントラを聴いていたらまた観たくなったんですから。しかたないじゃないですか。3度目の鑑賞です。たった3回、他の方に比べたらまだまだ少ないですね。ただ、同じ映画を3度、映画館で観たのはこれが初めてです。
 宇宙大戦争のテーマは、自衛隊が劇中に登場したときに使われる曲として認識しています。やられ役の登場ですね。勇ましい曲でありながらゴジラによって戦車隊や艦隊が一蹴されます。戦闘機や攻撃機も叩き落とされてしまいます。悲しい曲です。
 それが、このシン・ゴジラでは勝利につながる曲となるのです。シン・ゴジラサントラに収録されている宇宙大戦争テーマを聴くと力がみなぎります。これまでのイメージを一新させました。
 さて、今回の鑑賞で最も驚いたのは、スタッフロールが終わって劇場が明るくなるまで誰も席を立たないことでした。大臣のセリフで笑いが起きたり、東京が燃える場面ではため息が聞こえたり、本当に良い環境での鑑賞でした。
 他の方の批評で目についたものがありました。出てくる人物が皆誰もが良い人ばかりなのです。そうなのですよね。たしかにそうなのです。総理だって、決断しかねるのは国民の心配をするからこそであり、里見臨時総理も腹の底が見えないようで実はこの国のために力を尽くしました。米側の劇中に出た人々も「かの国は」と言われるような人物ではありません。それがうれしいです。誰もが日本のためにがんばっていました。自分のできることを全力でやっていたのです。
 良くない人々は、電話の向こうであったり、セリフの中に出てくるのみです。
 1回目の鑑賞で号泣して2回目の鑑賞では落ち着いていて3回目はまた泣きました。尾頭さんの「よかった」という笑顔で泣きました。
 正直なところ、3回目の鑑賞でも、これから日本はどうなってしまうのか凄まじい不安に襲われました。感情移入しすぎて、フィクションなのに、明日からの生活が怖くなる、食べていけるのか、仕事はあるのか、いったいどうなってしまうのか、映画館を出て、夜の空を見ると入道雲ゴジラに見えてますます不安になる、本当におそろしい映画です。
「批判の用意ができました」
「総理、やりますか」
「これまでシン・ゴジラの批判はしてこなかった、たいへんな感想だぞ」
「ここは苦しいところですが、やるしかありません」
「無制限の批判を許可する」
 というわけで、今回はちょっと批判をさせていただきたいですね。
 ヤシオリ作戦です。どうして! 対地誘導弾発射の役目を米海軍のヒューイにやらせるんだよ! そこは海自の護衛艦にやらせろよ! できるだろ! ビル破壊の対地誘導弾ですよ。海自の出番が全然ないじゃないですか。タバ作戦でも東京湾に並べた護衛艦から速射砲を撃たせたらよかったじゃないですか。速射砲ですよ、速射砲。これだけリアルに自衛隊の攻撃をやってくれたシン・ゴジラ護衛艦の速射砲を見せてくれたらとんでもなく感動していたでしょうね。どうしてやってくれないんですか。MLRSと自走砲による攻撃は何度観てもしびれるんですがね。
 あと、音楽ですけどね、宇宙大戦争のテーマがよかったわけではないんですよ。鎌倉上陸の前のオリジナル音楽が流れたあとに昔のゴジラの音楽が流れたり、ヤシオリ作戦の準備が立川で展開されるときの音楽が流れたあとの宇宙大戦争のテーマは、なんとも、いまどきの曲と昔の曲の大きな違和感がありまして、そこはすんなりと飲みこめません。
 ヤシオリ作戦がおわったあとのパタースンと矢口の会話がありますね。都内中心部のビル屋上ですね。あのとき、大都会の騒がしい音が聞こえていましたよね。それがおかしいです。都内中心部にはほとんど人がいない状態になっていたはずであり風などの音がする程度だったはずなのに、まるで日常のような音が聞こえていたのは大きなマイナスです。編集でなんとかならなかったのでしょうか。
 パタースンへの批判はもういいや。
 ヤシオリ作戦におけるゴジラが転んだところになぜ偶然にもポンプ車などがうまく配置されていたのか、そのあたりはカットされていたように思います。ゴジラの口が来たところへ即時移動していく演出が省かれていたように思います。
 新幹線爆弾や在来線爆弾やビル倒壊が巨災対によって計算されていたのだからポンプ車両の部隊もその配置をかなり綿密に計算されていたはずです。だから、いいんです。
 しっぽの先の謎、その他もありますが、何やら続編をにおわすシン・ゴジラですね。続編はこわいですね。今作がこれほどの良作だったので続編はそれ以上に良いものでなければいけないのですが、最後のしっぽの先に見えている謎は駄作を感じさせます。続編がこわいです。
 シン・ゴジラを私の映画ランキングで第何位にするのか、会議やレクをしつつ手続きに入りたいと思います。
 以上、シン・ゴジラの3回目の鑑賞感想でした。