2016年6月25日公開
監督：白石和彌
脚本：池上純哉
原作：稲葉圭昭「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」
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あらすじ：諸星要一(綾野剛)は大学時代に鍛えた柔道の腕前を期待されて北海道警の刑事となった。強い正義感を持っていたが、なかなかうだつが上がらない。そんなとき先輩刑事の村井(ピエール瀧)から「刑事は点数。点数稼ぐには裏社会に飛び込んで『S』(スパイ)を作れ」と教えられた。それから暴力団と密接な関係を持つようになり、点数を稼いでいく。やがて、スパイとともに北海道の治安を守るためと称して悪事に手を染める。
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白石監督といえば「凶悪」がたいへん良かったです。そのあとですから期待しました。ニチワルも非常に良いです。ぜひご覧ください。
何より、村井の行きつけの店に「凶悪」でピエール瀧の妻を演じた女性がいて、その女性と村井がべったりですからね。笑わずにはいられないでしょう。
それはさておき、諸星の変貌ぶりがたまらんですよ。正義に燃える男が道警の点数稼ぎのために悪徳刑事へと成長？していく様子がすばらしいです。
本当に「どうしちゃったんですか、綾野剛さん」です。
最高の変貌をみせるのは、すすきのの歓楽街を歩く諸星に向かって、商売女やヤクザや店の男が「諸星さん！」と次々と声をかける場面です。あれ？ これはどこかで見たぞと思いました。「新宿スワン」ですよね。
中身どころか服装までヤクザみたいになってしまって、諸星の変身に度肝を抜かれます。
そんな諸星も薬物だけは許さないんですね。ところが、どうしようもない大失態をかまします。それがきっかけで手を出してしまいました。白目をむきました。
そのあとの諸星は水の入ったペットボトルを常に持ち歩きます。もしかしてヤクチューは水をがぶがぶ飲まないとやっていられないのかなと思って、映画が終わったあと調べてみたらやはりそうでした。覚せい剤はのどがひどく乾くようです。
髪が白くなり、それなりに風格のあった姿もすっかりただの中毒者です。
大失態のあとの落ちた姿もまた最高です。ざまあみろ。
ところで、映画パンフによると制作陣はウルフオブウォールストリートを意識したとのことですが、言われてみれば何から何までウルフオブです。後半まで薬物に手を出さなかった点だけが異なります。
村井に教わるまでのうだつの上がらなさ、教わったあとの変貌、仲間3人とのつるみ方、点数の稼ぎ方、薬物による転落がウルフオブですね。
ウルフオブは大好きな映画ですが、ここまで意識した作りだと正直なところは興ざめしました。
でも、面白い映画だし、まいっか。白石監督には今後も期待します。まためちゃくちゃな映画をぶっこんでください。
