2016年1月日本公開
監督:ロバート・ゼメキス
脚本:ロバート・ゼメキス、クリストファー・ブラウン
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あらすじ:1974年、フランスの大道芸人フィリップ・プティ(ジョセフ・ゴードン・レビット)は誰も考え付いたことのない芸に挑戦しようとした。それはマンハッタンで建設が進むワールドトレードセンターの2棟の間を綱渡りすることだった。高さは411メートル、2棟の間は42.67メートル。果たして、この無謀な挑戦は成功するのか。彼は"共犯者"を探しはじめた。
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2016年映画館鑑賞1本目はザ・ウォークです。
2Dで鑑賞しました。3Dで観る必要はないという判断です。でも、3Dで観たほうがよかったかもしれません。何しろ2Dですらお股が縮こまりましたから。野原しんのすけに言わせたら「お股がヒュッてなった」です。ドキドキがたまらない映像でした。
さて、物語や人物はというと、主人公フィリップが物語のナレーションをやるんですな。
実は、フィリップのWTC綱渡りは依然「マン・オン・ワイヤー」というドキュメンタリー映画になっているんですね。観ていませんけど、今作のフィリップによるナレーションはまるで「マン・オン・ワイヤー」のリメイクみたいです。
ただ、このナレーションが効果的かというと、そうでもないと思います。ナレーションのおかげで具体的にこんなことが良かったとは言えないです。
あと、実話だからしかたないのですけども、フィリップという人物がダメです。はっきり言って嫌いです。
WTCの綱渡りをしたことがあまりにもすばらしすぎました。本人も言うとおり芸術です。それがなければ、こいつはただの嫌われ者です。
本人が自己中心的であり周りへの気遣いに欠けるから共犯者たちが彼から離れてしまいそうになります。でも、フィリップのやろうとしていることが世紀の大芸術ですから誰も離れていきません。彼からは離れているけれど、彼のやろうとしていることからは離れていかないのです。偉業をいっしょに達成したい、ただそれだけでしょう。
綱渡りが終わると、第一の共犯者があっさりと彼から離れていきました。「今度は私自身の夢を追いかける」と言って。では、フィリップがその夢に協力するのかといえば笑顔で見送るだけでした。クソ野郎め。協力してくれたお返しをしないのかよ。
第一の共犯者の夢は、共犯者が必要なものではないのでしょうけれども。
ロバートゼメキス監督は「フライト」でもクソ野郎を主人公にしていました。「フライト」も実話じゃないですか……。嫌な奴を撮るのが好きなんですかね。
とはいえ、フィリップが不快でも、この映画はおそるべき映像を見せてくれるから、観ざるを得ないのではないでしょうか。もちろん映画館で。