2015年4月米国公開
監督:ダニエル・エスピノーサ
脚本:リチャード・プライス
原作:トム・ロブ・スミス「チャイルド44」
製作:リドリー・スコット
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あらすじ:スターリン政権下のソビエト連邦で、国家保安省捜査官レオ(トム・ハーディ)は親友の子の死を知った。どう見ても殺人だったが、ソビエト連邦において殺人は資本主義の支配下でのみ起きるものとされて事件は事故として処理された。また、レオも妻ライーサ(ノオミ・ラパス)にスパイ容疑を掛けられて左遷された。だが、飛ばされた町でレオは再び同様の事件と遭遇する。
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2009年度「このミス」1位だった原作の映画化です。
原作未読ですが、映画のほうはミステリというよりもスリラーではないでしょうか。ほんの少し調べたらすぐに犯人がわかる連続殺人事件でした。目撃者も証拠もあります。ただ、当時のソ連だからこそまったく捜査できないためにいつまで経っても事件が続いて被害者が増えていくのです。独裁政権、社会主義のソ連で権力争いも絡むから事件は進展しません。
ソ連という楽園で殺人はありえないのです。
殺人は資本主義に毒された者が起こす事件なのです。マジかよ、資本主義許せないな。
さて、映画の前半はレオの活躍と失脚を長々と描きます。それが本当に長すぎて飽きました。事件に手をつけるまでが長いです。
それに結局本当に悪いのはナチだ!ということにされてしまっていて、「犯人もまた被害者の1人だったのさ」という感じでした。
その犯人もレオに関係する人物なのですが、誰だよ、しらねーよという人物です。
犯人との格闘から始まる泥レスも、なんだかな。ライーサが強すぎて笑います。
全体の印象も、ミステリをやりたいのか、窮屈な社会の批判をしたいのか、いろいろ盛りだくさんで見づらいです。殺人事件そのものもソ連という歪んだ社会が原因であり、すべてはソ連社会につながっています。ただ、うまくつながっていない、いろいろなものを盛って盛って盛りつけているように感じられました。
せっかくの題材をうまく映画化できていないのではありませんか。いまいちです。