やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「インサイド・ヘッド」(吹替)感想


2015年7月公開
監督、原作:ピート・ドクター
脚本:ブレンダ・チャップマン
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あらすじ:ミネソタの田舎町で明るく幸せに育った少女ライリーは、父親の仕事の都合でサンフランシスコに引っ越した。新しい生活に慣れようとするライリーを幸せにしようと、彼女の頭の中の司令部では「ヨロコビ」「カナシミ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」の5つの感情が奮闘していた。しかし、ある時、カナシミがライリーの大切な思い出を悲しい思い出に変えてしまう。慌てて思い出を元通りにしようとしたヨロコビだったが、誤ってカナシミと一緒に司令部の外に放りだされてしまう。ヨロコビは急いで司令部に戻ろうと、ライリーの頭の中を駆けめぐる。
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 勝手ながら久々の当たりが来たんじゃないかと期待していました。ピクサー映画はメリダ以降どれもはずれなのです。モンスターズユニバーシティは評価高いですけど。続編ではない完全新作です。しかも頭の中の世界がどうなっているのかを描くのです。なんというアイディアでしょうか。はずれるわけがありません。
 さて、結論は当たりです。
 ただ、冒頭のドリカムが歌う主題歌「愛しのライリー」は頭を抱えました。よくこんなものをディズニーとピクサーが許したなあと逆に感心しました。なぜ最後のスタッフロールで流さなかったのでしょうか。まさかいつもの短編アニメがないんじゃないかと不安にありましたけど、それはありました。
 海の火山が歌うというアニメでした。これって、西ノ島じゃね? 新しい海底火山が成長して古い火山を取り込んでひとつの島になるんですよ。西ノ島物語とでも呼びましょうか。
 そしていよいよインサイド・ヘッドです。
 妻子持ちではない独身30代ですが、泣いてしまいました。「カナシミ」が大切なカギになるということでしたが、それがどんな形でカギになるのか待っていたら、なるほどそう来たか、と。
 ちょっと考えすぎました。人間の泣く行為は医学的にストレス発散につながるというではありませんか。そういう科学的な結末なのかなと思いました。途中で、ビンボンというライリーの夢想キャラが泣くことによってビンボンは気分をすっきりさせていましたし。
 引越しによってライリーを大人へと成長させていくのかなと思いましたよ。ライリーの性格を形成している島としていくつかあるオフザケの島やミネソタの親友の島を崩壊させていく流れは大人への階段なのかなと思っていました。しかし、違いましたね。大人への階段なのではなく、古い記憶として失われていったということなのでしょう。てっきり私は、彼女が引越しという人生の大イベントによって思春期を迎えたのかなと思っていましたけども。ヨロコビとカナシミを失っている間は思春期なのかな、と。でも、違いました。
 ライリーは無理に喜ぶことによって父母を楽しませていた、しかしそれらは彼女にとって重荷だった、父母の前で悲しむことも必要だったわけです。どんな感情も殺してはいけないのです。
 とにかくヨロコビとカナシミが戻って、感情を発露させた彼女はそのあと成長して改めて思春期を迎えることになりそうです。この流れは良い続編を期待できます。
 ヨロコビとカナシミが司令部へ戻るための冒険も良かったです。まさかのイケメンが伏線だったり、ビンボンが犠牲となる過程は松本零士の「スタンレーの魔女」を思い出しました。号泣やで! 二次元は笑いました。
 ヨロコビが喜びをなくしてカナシミを置き去りにする場面も泣かずにはいられません。辛い状況がヨロコビをも変えてしまったのです。変えたというかヨロコビは悲しみという感情を殺そうとしたのでした。でも、そうじゃないんだよね。
 どんな感情も大切にしないといけないのかな。そう思わせる作品です。