やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「新宿スワン」感想


2015年5月公開
監督:園子温
脚本:鈴木おさむ、水島力也
原作:和久井健新宿スワン
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あらすじ:仕事もなく所持金は100円もない白鳥龍彦(綾野剛)は新宿を彷徨っていた。そこを真虎(伊勢谷友介)に助けられる。さらに真虎が所属する会社に誘われたタツヒコはその後風俗へ女性をスカウトする職業に就く。裏の社会を知っていくタツヒコは過去の因縁があるヒデヨシ(山田孝之)などと出会い、抗争に巻き込まれていく。
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 いつもの園監督らしくないごく普通のファミリー向映画だなと思いました。そういえばなんだかいつもと違う始まり方だったなあと思ったわけです。冒頭の「SONO SION's MOVIE」がないではありませんか。
 内容が全然ファミリー向ではありませんけどね。PG12です。いつもと違うスタッフで作った映画ということでしょうか。脚本も監督の名前がありません。いわゆる大人の事情が絡んだ映画なのでしょうか。俳優も豪華だし、こんな内容だと神楽坂恵が出てきそうですけど、出てきません。監督らしくないです。
 それはさておき、面白かったのかどうかで言えば、面白いです。
 衝撃的だったのは、風俗を肯定した内容だったということです。タツヒコは風俗の女の子を幸せにしてみせると息巻いています。もちろん、現実の風俗では、タツヒコがかかわった女の子が自殺することもあって、風俗に女の子を紹介していく自分のスカウトとしての職業に苦しむ場面もあります。
 ただ、基本的には風俗を肯定しています。大勢の風俗嬢から「幸せにしてくれてありがとう」と言われる場面もありました。
 原作未読ですが、原作との違いが風俗への考え方のようですね。原作といえば、原作者和久井健が実際にスカウトをやっていたからたいへんリアルな内容らしいです。
 風俗か……風俗につきましてはですね、私としての立ち位置は、ちょっと置いておいて、一番気になるのは新宿スワンの内容の果たしてどこまで現実なのかということですよ。
 ここ最近の風俗には基本的にヤクザはかかわっていないからたとえば「チェンジ」しても怖いお兄さんが出てくることはないと言いますが、この「新宿スワン」だとどうやらヤクザもかかわっているぽいじゃないですか。
 作中では、あくまでスカウト会社とヤクザが絡んでいるのであって風俗の店舗そのものとヤクザが絡むことは無さそうなのですが、裏社会の真実はいったい……。
 最後に、「新宿スワン」はいつもの園子温ではないのでどなたにもおすすめできる映画です。これはこれで褒めてますからね。それだけ園子温監督は何でも撮れる腕を持っているということですよ。あと、綾野剛はシリアス演技よりもタツヒコのような三枚目演技のほうが向いているんじゃないかなと思いました。