やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「フォックスキャッチャー」感想

2015年2月日本公開(2014年11月アメリカ公開)
監督:ベネット・ミラー
脚本:ダン・フッターマン、E・マックス・フライ
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あらすじ:ロサンゼルスオリンピックレスリングで金メダルを獲得したマーク・シュルツはデュポン財閥のジャン・デュポン率いるレスリングチーム「フォックスキャッチャー」に招かれた。デュポンの支援で練習を始めるマークだったが、やがてその関係は崩れていく。
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 強いアメリカなんて幻想だったんだよ、ということなのでしょうかね。とはいえ、私からすればアメリカは911以降でもまだまだ強い国です。彼ら自身は、そんなアメリカを背負っていて苦しんでいる、そういうことなのでしょうかね。
 とはいえ、あのアメリカで、金メダリストが貧しい生活をしていたというのは衝撃的でした。デュポンのいうとおり金メダリストには敬意を払うべきです。
 そのデュポンが、今作の曲者なのですね。めんどくさいおっさんなのでした。ただ、母親に、自分の好きなレスリングを否定されていて、その代わりに彼も母親の好きな乗馬を嫌っている、この関係は、私自身に重なるものがありました。ただし、重なる部分はここだけです!
 レスリングの練習場に母が来たら、いいところを見せてやろうという感じでジャンが指導を始めたのはあまりにも滑稽でした。この演出といい、マークの自信無さげな歩き方といい、演出がわかりやすいです。
 それと、完璧な兄を持つマークです。兄が家族を大切にしていて、同時にレスリングもすばらしい指導をできて、誰とでも楽しく会話をする、弟のことだって大切に思っている、完璧超人の兄がいるとマークは辛いです。
 めんどくさいデュポンに苦しみつつ、兄の存在にも苦しむマーク、いろいろたいへんな映画でした。某ラッパーが絶賛するほどのものではないとは思います。絶賛する理由というのが自分の境遇と重なるからだということですけど、でもさあ、だってさあ、なんだかんだ言ってデュポンは富豪だし、マークは金メダリストですから。単なる凡人の私が自分と重なる部分なんか見つけられませんわ。(51)