2015年5月公開
監督:ニール・ブロムカンプ
脚本:ニール・ブロムカンプ、テリー・タッチェル
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あらすじ:2016年南アフリカ。ヨハネスブルグの警察が兵器メーカーTetravaalから導入したスカウト型ロボットは次々と犯罪集団を鎮圧していった。一方で、スカウト型の開発者ディオン(デーヴ・パテール)は大型ロボット兵器の開発者ムーア(ヒュー・ジャックマン)から妬まれている。ディオンはほとんど人間に等しい人工知能の開発に成功したが上司ブラッドリー(シガニー・ウィーバー)から人工知能搭載ロボの試作を禁じられた。諦めきれないディオンは廃棄されたスカウト型とごく一部の社員しか使用できないガードキーを持ち出す。そこをニンジャ、ヨーランディ、アメリカのギャング3人組に襲撃される。
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「テンション」
というわけで、また南アフリカ、またシャールト・コプリーです。日本公開版はグロい場面が編集されていることで話題になりました。その編集も映画の面白さそのものには影響を与えないから大丈夫だよというお話もありました。
結果的には、ニール・ブロムカンプ監督は科学の可能性を見せてくれちゃって歓喜と感涙です。
前作「エリジウム」では身体の欠損を治す技術で明るい未来を見せてくれましたが、今作では我々の意識を新たな身体に移すことでほぼ永遠の命を得る技術を見せてくれました。
人工知能がもたらす未来です。我々の魂を新しい身体に移すことを発見したのはチャッピーだったわけで、そのチャッピー:人工知能を作ったのはディオンであり、チャッピーが意識を移すことを思いつく基になったのはムーアの作ったヘルメットなのでした。
科学者のもたらす未来ってやつじゃないですか、これは。
カンタンな話しですよね。科学は使い方で如何様にもなるわけです。ムーアのヘルメットは本来は軍事用でしたが、チャッピーによってまったく違う使い方となりました。
チャッピーそのものもそうなのですよ。ただ、周りの人たちの影響を受けながら成長していくチャッピーについて、これは人間の子供にも当てはまるとは思わないです。人間の成長も環境の影響でどんなものにも変わるけど、全部が全部そうじゃないと思っています。人間の場合、8割は環境で2割は持って生まれたものではないでしょうか。チャッピーの場合は10割が環境で決まっていく感じじゃないですかね。
いや、でもなあ、チャッピーも持って生まれたものがあったのかなあ。身体的特徴が自意識に影響していたかもしれません。そもそも吸収していく速度はチャッピーだからこそですね。
ニンジャとアメリカによってギャングとして育てられていく、ディオンとヨーランディによってギャングとしてではなく普通の子として育てられていく。人がどのように育つのか、それは環境によって如何様にもなるということです。科学は使う人によるのでした。
治療など長生きするための技術は、ほしいです!
チャッピーがかわいいんですよ……。何もわからないからおびえている姿がまた何とも、守ってあげたくなります。ニンジャのせいでギャングの真似事をする姿が幼いんですよ。チャッピーの顔についている2個のバーが動くのも愛らしいですなあ。
ロボコップを思わせる内容でもありますね。意識を持ってしまった人型警官ロボットと二足歩行だけどバリバリの軍事用ロボットの対決なんて。
ヨーランディがチャッピーに読み聞かせた絵本「黒い羊」について、みんなとちがう人を差別したらダメだよという教訓なんでしょうけど、それについては「チャッピー」という映画とは少しつながらない部分があると思います。
なぜかというと、作中でチャッピーが市中の若者から恐れられて攻撃を受けた理由にあります。チャッピーは本来は警察ロボなんですよね。その警察ロボが急に目の前に現れたら、市中の悪者にとって敵が来たのと同じことですから恐れて攻撃します。
そのために、「黒い羊」とズレてしまうのですよ。なので、自分とは異なる者への差別とはちがうんですよ。
この黒い羊の件以外は、この映画は最高だと思います! 日本公開でR指定を付けないように編集した場面がどこなのかすぐわかったけど、そんなもん、作品全体への影響なんぞありませんでした!
チャッピーの銃を使わないアクションなんか最高じゃないですか。手裏剣やナイフですよ。それが大型ロボットに止めを刺すのだから、本当に最高じゃないですか。
体なんて器でしかない、意識を新しい体に載せていく、そんな未来を見せてくれたチャッピーが最高です。ヨーランディは意識を移すことによって生き返りますが、アメリカが生き返りません。ニンジャに比べるとまだ罪は軽いのですけどねえ。
ニール・ブロムカンプ監督は次はどんな未来を見せてくれるのでしょうか。楽しみです。エイリアン5の脚本執筆を引き受けたらしいですけど、まだ35歳ですからね、私もほぼ同じ年齢だからこの先ずっと監督の作品を追っていけますぜ。
チャッピー、死にたくない。