2015年4月公開
監督:山崎貴
脚本:古沢良太、山崎貴
原作:岩明均『寄生獣』
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あらすじ:島田の事件を経た学校は落ち着きを取り戻しつつあった。一方で、田宮は人間との共存を模索している。泉新一は倉森という人間に監視されている。広川市長たちは田宮のやり方に反発するようになった。そんな中で人間たちの反攻作戦が計画されつつあった。
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去年11月に前編が公開されて、ようやく完結編の公開となりました。
前作の感想では、山崎貴監督に対する恨み節を並べようとしたらそんなに悪い作品ではなかったために少しだけ褒めさせていただきました。
前後編2部作になっている邦画について、私は前編が良くて、後編は駄作なんじゃないかと思うようになりました。これまでそのように感じた作品は、GANTZやソロモンの偽証でした。そもそも近年の邦画は前後編があまりにも多すぎます。るろ剣もそうですし、間もなく公開の実写版進撃の巨人があります。邦画の前後編が増えている状況について商業主義偏重を指摘する記事も見るようになりました。
そんなわけで、寄生獣完結編もあまりよろしくない作品になってしまっているのではないかと恐れていました。しかし、そんなことはなかったです。
寄生獣は講談社文庫版であれば8巻です。アニメは全24話です。それを2時間の映画にまとめるのは難しいでしょう。2部作に抑えただけでもよくがんばったほうなのかもしれません。
何せ、泉新一の父親が出てきません。サブヒロインだった加奈もいません。後藤との決着をつけた場所とそれに関係したおばあちゃんの存在はなくなっています。しかし、それらを除けば原作どおりの物語になっていると思います。
最後の最後に、殺人鬼との決着が今作でもありました。それも本当に原作どおりです。悪く言えば、無難な物語です。実写映画独自の無駄な内容を入れなかったことで、観れる映画になってしまったのです。
山崎貴監督だからこそのVFXも良い仕上がりだと思います。
さて、後藤との決着ですが、311を絡めてきました。実写版寄生獣の世界でも東日本大震災が発生していて、原発事故による放射性廃棄物が問題になっていることが推測されます。その放射性廃棄物が後藤への致命傷となりました。これが実写版の改変となるわけです。
また、新一が後藤に止めを刺すのかどうかも気になりました。その点も原作どおりでした。見逃さずに「守るものがあるから命を奪う」というとても大切な選択肢を実写版でも選ぶのでしょうか。もしかしたら新たな解釈で見逃す可能性もありました。
そこは、もう見逃すことなく原作と同じ理由で後藤に止めを刺しました。
最後にもう一度申しますが、たいへん無難な仕上がりとなった実写版寄生獣です。前後編が増えている邦画への批判はひとまず置いて、今回だけはそんなに悪くない作品になっていると思います。