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ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「ルパン三世」感想

2014年8月公開
監督:北村龍平、脚本:水島力也
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 ルパン、マイケル、ピエール、不二子など若き大泥棒がオリンピックで最も古いメダルを盗み出そうと競い合った。最終的に不二子へと渡り、盗賊のシンジケート「ザ・ワークス」が集まって次世代を担う彼らが祝福された。しかし、マイケルが裏切る。大切な人まで殺されたルパンはマイケルが奪ったものを取り戻すため次元、五右衛門と新たに手を組む。
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 意外と悪くない……
 どうせクソ映画でしょ、と決めつけて鑑賞したからでしょうか。
 北村監督といえば、これまでVERSUSやゴジラFINAL WARSなどの輝かしい作品を生み出してきました。
 VERSUSは119分という2時間から1分を引いた作品でして、あらゆるアクションを盛り込んだ実験的な映画でした。それで、119分という長さなのですが、実際に鑑賞してみると4時間くらいに感じることのできるたいへんお得な作品です。皆さんもぜひご覧になって、「この映画はいつになったら終わるのかな」と思いながら苦しんでいただければ幸いです。私の「クソ映画ランキング」で見事に1位となったこともあるすばらしい作品です。
 次にゴジラFINAL WARSです。東宝ゴジラの長い歴史に止めを刺した作品となりました。最後の最後でびっくりするくらい凶悪なカエル顔になったゴジラがあらゆる怪獣を蹴散らしていきます。そして、興行成績も蹴散らしていったのでした。
 さて、そんな北村監督はVERSUSで成功して渡米しているそうです……成功? VERSUSで成功しただと? ちょっと意味がわからないです。
 さて、監督最新作となったルパン三世、なぜこんな仕事を引き受けたのか疑問です。
 初の実写化ではないという過去の歴史にも注目すべきですね。日本テレビではなくTBS製作だという点や、某超映画批評では100点満点中3点だったり、気になる部分が多すぎます。
 ルパンを演じた小栗旬はインタビューで「ルパンに決まった形がないとわかり、自分なりのルパンを演じることにした」と語っていました。でも、最低限蟹股歩きだけは心がけたそうです。
 映画が始まるまでは散々な言われっぷりだったわけですが、小栗旬のインタビューなども踏まえた上で実際に動いているところを観てみると、ううん、なんか、それほど悪くないような感じなんですよ、これが。
 アクションがそれなりに形になっているのは、北村監督だからこそでしょうね。
 脚本もそれほど悪くないと思いますよ。ピエールやマイケルと組むことになるので劇中ではルパンはいつもの4人体制に2人が加わっています。そういうルパンも過去にありましたよね。この物語はこの物語でいいんじゃないかな。ルパンに決まった形はないんですね、本当に。
 まあ、細かいところでは気になる部分がちらほらあります。マイケルに呼び出されて単身で会いにいく不二子、そのときのハイヒールが足に合っていなくてかかとに隙間があるように見えました。そのあと、室内でマイケルと会ったときは足に合っていなかった黒いハイヒールが赤いハイヒールに変わっていました。こういうのはご愛嬌ですかね。
 それ以外では、ルパンともあろう大泥棒が脱出方法を考えていなかった点です。あと、地雷が埋まっているはずの地面を何事もなく進んでくる歩兵と戦車。
 それに、五右衛門が車を斬ったように見えたけど全然斬っていなかった点です。五右衛門だけは厚い金属の扉を斬っただけでそれ以外に大した仕事をしていなかったのが残念です。小銃も斬っていましたけど、車まっぷたつは観たかったなあ。パーシージャクソンか何かのファンタジー映画で車がまっぷたつになる場面があるし、できないはずはないでしょう。やれよ!
 終盤でルパンと手を組むマイケルについてですが、ルパンとマイケルが組んだら最強らしいです。ただ、そのマイケルがどれほどのものなのか、ルパンと双璧をなす人物なのか、伝わってくる場面がありませんでした。
 作品全体の声も、あとから声をかぶせている手法なので違和感が半端ないです。それなのに聞き取れない部分もありますし。
 ルパンといえば、失敗やピンチがあっておどける場面が多いと思います。それがなかったのも残念かな。ひたすらかっこいいだけのルパンだったのが逆に滑っていませんか。
 コンピュータウイルスを使ったルパンですが、相手のディスプレイに表示されたのがアニメーションのルパンでした。実写映画でそういうことするのはやめていただきたい。
 ルパンの衣装については、赤ジャケ以外に緑ジャケもあったりして、そういうのはうれしいですな。車がフィアットばかりなのは残念ですけど。あと、銭形警部が埼玉県警のパトカーで登場したのは面白かったです。
 邦画のアクションはどうしても安っぽいし、今回も爆破される監視塔の壁がベニヤ板みたいにペラペラしていたのが観えてしまってがっかりしましたけど、もうちょっと金をかけたいですな。撮影する場所が安っぽいのもなんとかしてほしいです。
 最後に。今回の実写化は細かい突っ込みどころがあるものの、全体的にはクソというほどでもないですが、やっぱりルパンはアニメでいいです。でもでもほんの少しだけ2作目も観たい気がする……。