2013年公開。黒沢清監督。佐藤健、綾瀬はるか主演。“このミステリーがすごい!”大賞を受賞した小説『完全なる首長竜の日』を原作とする。昏睡患者と意思疎通できるセンシングという新しい医療技術を通じて自ら命を絶とうとした漫画家の女性とその恋人が交流する様子とその背後に隠されていた真実を描く。
・
佐藤健と綾瀬はるかは好きな俳優ですからね。特に綾瀬はるかはかわいいですからねっ! 大好きですよ。その分楽しめました。ただ、佐藤健の「そっかぁ……」というセリフの脱力感が半端ないです。しかもこのセリフが何度かありますから。その脱力を味わったあとで、防波堤で倒れた綾瀬はるかを抱き上げたあの力強さはいったい何なのか。
宇多丸さんのラジオでこれがホラーだと聴いていましたが、本当にホラーでした。女性の観客が悲鳴を上げていました。
これのどこがミステリなのか、疑問に思うところです。大した謎もないし、その謎が佐藤健や綾瀬はるかの手によって解明されるのかと言えばそうでもなく自動的にあっちから勝手に謎が明らかになっていきます。ただ単に忘れていたことを思い出しただけですけどね。
綾瀬はるかではなく実は佐藤健のほうが事故で昏睡状態になっていたというオチです。それまで散々佐藤健が綾瀬はるかを昏睡から覚まそうと奮闘していたのに、あれは何だったのでしょう。もちろん佐藤健のほうが昏睡していることを示す予兆はありましたよ。佐藤健の幼い頃を海に沈めようとした小学生モリオの存在などです。でもなあ、ミステリーというのはこんなもんなんですかねえ。綾瀬はるかを起こしたところで終わらせたらこの映画はきれいになっていたと思うのですが。
佐藤健が実家に帰ったとき母親役と思われる小泉今日子と話しています。そのとき「宮内」だか「宮永」だかそんな名前の人が会話の中で出てきました。佐藤健はその名前をさん付で呼んでいます。この会話は結局何だったのでしょうか。
それと、飛古根島のリゾート開発ですけど、その件はこの映画に必要ですか。無しのほうが物語をきれいにまとめることもできたと思うのですが。
あと、車で走っている場面ですが、車窓などがショボいです。どうにかなりませんか。あれも仮想現実だからショボいんじゃなくてそういうものだとして割り切ったほうがいいのでしょうか。
・・・
この映画について、その後宇多丸さんの評論を聴きました。(宇多丸さんのウィークエンドシャッフルというラジオ番組で映画評論を聴くことができます。)
納得いかない部分が多いのですが、車で走っているときの車窓については無理やり納得せざるを得ません。
ううん、黒沢清監督はなかなかの鬼門でございます。今後の鑑賞は注意を要します。
177(2013年6月映画館にて鑑賞)