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ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画『ジャンゴ 繋がれざる者』を観た感想(ややネタバレ)


 2012年公開のアメリカ映画。クエンティン・タランティーノ監督。アカデミー賞脚本賞助演男優賞クリストフ・ヴァルツ)、ゴールデングローブ賞脚本賞助演男優賞クリストフ・ヴァルツ)をそれぞれ受賞。興行的に同監督作で最大のヒットとなった。165分。
あらすじ
 1858年、南北戦争の2年前、テキサス。奴隷ジャンゴ(ジェイミー・フォックス)は賞金稼ぎのキング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)の手によって自由の身となる。やがて2人は協力し、次々とお尋ね者を取り押さえていく。その後、奴隷市場で離れ離れとなった妻を捜す目的のあったジャンゴは農園の領主カルヴィン・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)のところに妻がいることを突き止める。

 結論から申しますと、めちゃくちゃ面白いです。長尺なのに時間を感じさせないのはさすがであり脚本賞受賞は当然のことでしょう。
 まず、この映画作品が単なるエンタメではないということをご報告します。黒人差別を徹底的にやっつける内容でした。それがエンタメとして成立してしまうのはある意味おそろしいことです。
 黒人差別がどれほどの悪なのかを知らしめるため白人を徹底的に悪としました。ひたすら黒人を痛めつける様子を大量にわかりやすくやってしまいました。そのことが彼ら白人を懲らしめる大義名分となります。黒人に向けられる悪意が観客の怒りを焚きつけるのです。勧善懲悪のヒーローアクションとなりました。立派なエンタメと化しました。
 死んでいく白人、血まみれになる白人、その絵が繰り返されて、そして最後の白亜屋敷大爆発で私の溜飲が下がります。スカッとします。なんという気晴らしとなったことか。
 黒人にも許せない奴がいました。キャンディに媚びるスティーブンです。こいつだけは許せねえ。ジャンゴとシュルツが嘘をついていることを見抜いてキャンディに告げ口しますが、スティーブンこそ大嘘をついていたではありませんか。なんてやつだ。こいつの最期もガッツポーズをしたくなる絵となりました。
 シュルツの用意した演出には泣かされました。「ドアの向こうにいる」というセリフで泣いてしまいました。あと、ネタバレですけどシュルツは死にます。その後、シュルツの遺体に別れを告げるジャンゴの場面でも泣きます。
 この映画は最高です。
 さて、妻を捜す旅の途中でジャンゴがやたらと妻の幻影を見ます。この演出は妻の死亡フラグにつながると思うのですが、何の意味があったのでしょう。正直いらないと思うのですが。ジャンゴが妻と過ごした思い出をはさむだけで十分妻への気持ちが表現できるはずなのですが。
 あと、ジャンゴがなぜ銃の名手なのか。ちょっと説明がほしかったです。ジャンゴ、おまえはいったい何者だ。
 とにかく、そんな些細なことは置いておきましょう。
 ジャンゴ、おすすめです。(136)