やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画『のぼうの城』を観た感想


あらすじ:天下統一を目指す豊臣秀吉は関東の雄・北条家に大軍を投じるも、その中には最後まで落ちなかった武蔵国忍城(おしじょう)と呼ばれる支城があった。
 その城には領民からでくのぼうをやゆした“のぼう様”と呼ばれ、誰も及ばぬ人気で人心を掌握する成田長親(野村萬斎)という武将がいた。秀吉は石田三成上地雄輔)に命じて20,000の軍勢で城攻めをさせるが、将に求められる智も勇もない、文字通りのでくのぼうのような男の長親は、その40分の1の軍勢で迎え討とうとする。

 本来であれば、2011年秋に公開されるはずだった作品です。ところが、東日本大震災を考慮して延期されました。
 なぜ延期となったか。観たら納得します。

 まず結論から。
 面白いです。2時間半近い長尺を感じさせません。
 俳優の演技が素晴らしいです。野村萬斎は、野村萬斎らしい演技でのぼう様を演じきってみせましたし、周りも適役です。
 最も驚いたのが、上地雄輔です。石田三成なんて大役を演じられるのかと思いきやかなりハマっているではありませんか。
 城攻め、戦闘もよくできていますし、その中での丹波佐藤浩市)、靱負(成宮寛貴)、和泉(山口智充)の活躍が演技も含めて良い動きをしています。
 これを観ていて思ったのはのぼう様が周りの人々に恵まれているなあということです。
 だからこそ、城が落ちなかったのですよ。
 百姓たちに愛されていますし。
 のぼう様がどのような人間なのか、人心をつかむ力があるのか、冒頭ですぐわかるのも良い作品である証拠です。
 のぼう様が石田三成軍の前で興じてみせる田楽踊りも良いです。
『今宵ふたりで大放尿〜 れんろんれんろんれんろんや〜』
 野村萬斎が考えたという踊りなんですね。百姓たちが田植え仕事などを皆で楽しく円滑にするためにやっている踊りに手を加えたもので、石田三成軍の水攻めを破る作戦です。
 なんせ、脳裏に焼きつく「れんろんれんろんれんろんや」が良いです。揺れる小舟の上で踊るから、なおさら良いです。
 心に残るセリフなどのある映画は良い作品である証拠です。
 あとは、甲斐姫を演じた榮倉奈々ってこんなにかわいかったっけ、というところでしょう。
 気になった場面としては、水攻めです。まずは冒頭で秀吉の備中高松城の水攻めです。これこそが公開延期となった元凶なのでしょうが、東日本大震災の巨大津波そっくりの黒く濁った巨大な波が城を襲います。それは、忍城水攻めでも同じでした。
 水攻めがこんなに派手なものになるのでしょうか。巨大波を生み出すものでしょうか。こんなことにはならないんじゃないかなと思いましたが。
 それと、セリフです。
「みんな、ごめん」はやけに現代的なセリフですが、坂東武者はあんな喋り方をするのかなと無理やり納得しました。
 さて、映画は最後まで席を立たないでください。
 スタッフロールでは、舞台となった忍城の現在の姿を流しています。埼玉県行田市なんですね。水攻めがどれほど壮大なものだったのかを伝える堤が出てきます。