あらすじ:禁断の手を使ってトップに上り詰めた男。親分を裏切り寝返った男。そして、志半ばに死んでいった男。5年前、ヤクザ社会の熾烈な下克上劇は決着がついたはずだった。しかし、山王会の肥大化を警戒した警察が動き始める。利用されたのは『死んだはずの男:大友』だった。やがて騙しと裏切りの火種がくすぶりはじめ、関東山王会VS関西花菱会の戦争へと発展していく。
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今年の映画館で観た映画90本目となりました。
前作アウトレイジでは、前半が面白かったけど後半は面白くなかったという感想を書きました。今回は、最後まで集中力が続いたものの、何かちがうなあと思いました。
仁義なき戦いと比べてしまうんですよねえ。
ビヨンドは話し合いの場面が多いです。仁義なき戦いでも話し合いの場面がほとんどです。にもかかわらず、仁義なき戦いは面白いのですよ。ただ、話し合いの場面の撮り方がちがうと思います。
仁義の場合、部屋全体を撮ります。しゃべっている人物をアップにすることはありません。その場にいる人物全員の表情や細かい動きがわかりやすいです。どうでもいい情報が多くて、なんだかよくわからないけど、混沌とした面白さがあります。
一方、ビヨンドは話し合いの場面でしゃべっている人物のアップばかりです。それも、顔のアップです。それ以外の情報がありません。
大きい仕草と手先のちょっとした仕草が豊富な仁義と、あまり動きのないビヨンドというちがいもありませんかね。
そういう撮り方が北野武なのでしょうか。これが北野武なのであれば、残念ながら私はあまり受け付けないです。
あと、セリフです。
名ゼリフだらけの仁義、一方でひたすらバカ野郎のビヨンド、そういうところも気になりました。
それでも、アウトレイジといえば、やはり暴力です。痛さがヒシヒシと伝わってくるやり口はさすがです。
バッティングセンターで縛られた石原が飛んでくる球をひたすら顔で受ける場面、大友がドリルで舟木の子分をグリグリやってしまう場面、お股がヒュッとなります。
高橋克典による一方的な銃撃は単調ですけど。
刑事片岡が死ぬというのは聞いていました。でも、誰がどのように殺すのか、気になっていました。最後の最後だったのですね。作中で一番悪かった片岡が、大友によって木村の葬儀場で殺されるわけです。
木村も死ぬし、とにかく大量に死にました。それも、花菱による一方的な勝利です。そこもちょっと不満があって、双方が痛い目を見たらもっと面白かったのではないかなと思います。
花菱の西野(西田敏行)、中田、城(高橋克典)側が大勝利となったのは、物足りないです。
とはいえ、おっさんがやりあうエンタメを観ることができるのはうれしいです。これから先もこんなエンタメがほしいです。