やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「おおかみこどもの雨と雪」を観てきた感想


 あらすじ:大学生の花(宮崎あおい)は、彼(大沢たかお)と出会ってすぐに恋に落ちた。やがて彼が人間の姿で暮らす狼男だと打ち明けた。そんな事実を知っても花の気持ちが変わることはなかった。そして一緒に暮らし始めた2人の間に、新たな命が生まれる。雪の日に生まれた姉は『雪』、雨の日に生まれた弟は『雨』と名づけられた。
 雪は活発で好奇心旺盛だが、雨はひ弱で臆病だ。一見ごく普通の家族だが、生まれてきた子供たちは、「人間とおおかみ」のふたつの顔を持つ、≪おおかみこども≫ だった。そのことを隠しながら、家族は都会の片隅でひっそりと暮らし始める。つつましくも幸せな毎日。しかし永遠に続くと思われた日々は、父の突然の死によって奪われてしまった。取り残された花は、打ちひしがれながらも「2人をちゃんと育てる」と心に誓う。しかし、雪と雨の子育ては特殊なもので、花にとって苦しい生活となった。人間ばかりの東京を出ることにした花は、父親が持っていた1枚の風景写真を頼りに田舎での生活を決意した。

結論から行くと、号泣です。
 お母さんの花がマジで必死になり2人の特別な子供を育てていくのです。普通の人間ではなく、おおかみとの混血ですから、子育てはめちゃくちゃたいへんなのです。おおかみこどもだということを知られまいとして、ひっそりと生活しなければいけない状況ですからね。
 最初から最後まで泣きっぱなしでした。レーシック手術で涙が出なくなったのに、この映画を観ている間は涙が流れました。
 父親の狼男は、雨が生まれてすぐに死んでしまいます。ここから泣きはじめました。
 そのあと、母親の花がどうしていいかわからないけどそれでも勉強して雨と雪を育てていく、でも、周りに助けを求められない、求めていたらたいへんなことになる、助けを借りずに母親の孤独な戦いが続く、しかし、東京を出ていくことになる。もう、母親の姿に涙涙です。
 東京を出ていったあとは人目を避けます。田舎、どうやら富山立山連峰の麓ぽいですが、(ウィキによると細田監督の故郷上市町なんですね)移住して田舎は田舎としての苦労をしてしまう、その姿にもひたすら泣いていました。
 しかし、状況は変わりましたね。周りの人々が助けてくれるようになったんですよ。こういう田舎ドラマによくある頑固ジジイが花を助けます。
 この助けられていく場面でさらに泣きました。
 物語は単純明快です。雪と雨がどんな成長をしていくのか、ただそれだけですよ。それにしても、雪と雨のおおかみこどもになっている姿は、かわいいよ! 今までけもの耳とか否定してきたけど、ごめんなさい、かわいいです。
 そんなわけで、物語は、子供たちが小学校を卒業し、中学に入学したあたりで終わりです。
 話の流れですが、118分とやや長いです。それでも、長さを感じさせないテンポの良さがありました。
 ただ、ひっかかる部分もあります。たとえば、お母さんの花があまりにも強すぎます。地球が滅亡しても子供たちを守りながら生き残っていきそうな強さがあります。ほかの母親が絶対に体験しない厳しい生活を送っているのにもかかわらずまったくへこたれないし、疲労で倒れたりしません。途中で寝てしまう程度です。
 あとは、そんなすばらしい母親に育ててもらって、雨と雪が母親に感謝する、お返しするという場面がありませんでした。それは寂しいことですが、何しろお話が中学入学で終わってしまうので、しかたないかもしれません。小学生の子供が、自分たちを育ててくれたことに感謝するということはなかなかないですことですから。
 最後に、雨について。雨は山奥の川でヤマゼミを見つけて捕らえようとしたら川に落ちて死にかけます。それがきっかけで性格がガラリと180度変わってしまうのですが、もうちょっとほかに性格が変わっていくきっかけが積み重なってほしかったです。
 雪のほうは、けっこう丁寧な性格の変化だったのですが、雨は急激でした。
 泣きっぱなしだった映画です。でも、冷静になってみるとそこまで良い作品だったかな、というところです。細田作品は、今までそんなにハマれなかったのですが、今回は見事にハマったと思います。ただ、なんか、両手をあげて高い評価をすると負けた気がしてしまうような。
 とにかく、良い映画だと思います。