やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

映画「さや侍」を観てきた(完全なネタバレ)

 松本監督作品は初めてです。これ、どうなの。どうしましょ、クソだと言いたいのですが。まず、冒頭ですが。野見さんは脱藩したお侍さんなので追われる立場なのですね。彼を3人の暗殺者が襲います。1人目が三味線に仕込んだ刀で斬ります。そしたら血がブシャアアアと出ました。その瞬間、エーッと思いましたよ。どう考えても死んだでしょ。もしくは暗殺者が暗殺する前の脳内イメージなのかなと思いました。でも、やっぱり斬られていたようで、血も大量に出たのです。だけど、だけど、死なないんですよ。わけわかんないですよ。2人目は短銃で野見さんの頭を撃ち抜き、3人目は野見さんの首の骨を折ります。そして、ピンピンしているのでした。たぶん、これは笑うところなのでしょうね。ところが、劇場内では誰もクッスリともしていませんでした。みんな、どんな表情でこの場面を観ていたのでしょうか。
 ところで、脱藩した野見さんはイカ藩らしいのですが、捕まった藩はタコ藩なのです。あれれ?
 そのあと野見さんは藩に捕えられます。30日の業が始まります。若君を笑わせないといけないというやつですね。この30日の業がねえ、死ぬほどつまらないですねえ。話の流れとしては、始めはスベってだんだん面白くなっていくというもののはずなのですが、面白くなりそうな雰囲気がまったくありません。100分の映画なのですが、観客にとって100分の業だったと思います。だって、劇場内は誰も笑ってないんですよ。危機的な空気が劇場内に流れていましたよ。ただ、野見さんは体を張っているので、娘たちや業を見物に来た町人たちが応援を始めるのです。笑わせるどころか応援させてどうするのか、と。
 野見さん自身はひたすら牢の番人と娘から言われたことをやらせているだけです。彼が成長することはまったくないです。最後は若君が笑ってハッピーエンドかと思いきや笑わすことなく切腹ですからね。びっくらこいたわ。切腹した瞬間呆然として凍りつきました。こんなエンディングは絶対に許しません。松本監督は泣かせようとしていたのですか。こんな泣かせ方があるかよ! 娘をたった一人残して(母親はとっくに死んでいる)自分だけ切腹して終わりなんて。娘に対して手紙を残すのですが、その内容もひどいのなんのって。「俺責任取ったよ、かっこいいでしょ。どうよ。今娘が幸か不幸かわからないけど俺は最後にやることやったよ」みたいな内容に激怒しました。不幸に決まっとるわ!
 主人公は野見さんではありませんでした。娘が主人公でした。だって、野見さんは何もしていないというかひたすらやらされてるだけで、一切何も思考してないのですよ。ひどいよ、これ。この娘も野見さんを軽蔑していて、映画の前半は「なぜ自害なさらないのですか」の連続ですからね。まだ幼いのに自害自害自害自害って。怖いわ!
 やだあ、この映画。おい、観客、だれか笑ってやれよ。
 以上です。