やくもとうずしおをがっつりと

ほぼ毎日19時更新。「映画鑑賞感想」は配信やDVDなど自宅で見た映画、『映画「タイトル」感想』は映画館で観た映画の感想です。稀に旅日記をやっています。

四国鉄道制覇の旅日記 その3

 2月28日。1:00。
 宇和島の夜、宇和島の深夜でございます。宇和島駅からとぼとぼと歩いて羽虫のようにたどりついたのはマクドナルド、そこでセットを注文したところから話を再開します。店内はだいぶ忙しいようです。会計処理やらそうじやらで、あまり長居できる雰囲気ではないのです。ああ、5時までいさせてほしいのですが。これまたゆっくりゆっくりとセットを食べて、ひたすら時間よ過ぎろ時間よ過ぎろ、と願うのでした。かばんからあむてりすくとFrontLineという小説冊子を出して読んで、ただひたすら時間よ過ぎろ、この雰囲気を破壊する新たな客よ来い、と祈りました。
 時間はなかなか過ぎず、客は3時になってようやくやって来て、しかしすぐ帰るから私もこれ以上はこの雰囲気に勝てないので店を出てしまうのでした。真夜中の宇和島を歩くのでした。新聞屋が動いています。そういう時間帯です。うろうろと街中を歩いてみて、宇和島城という看板を見つけても真っ暗なので何があるのかさっぱりわからず、アーケード商店街は開いているわけもなく、だれもいなくて、ああ、朝5時まで開いている飲み屋とかあれば入ってしまうのになあ。
 時間がものすごく長く感じました。宇和島駅の前でボーっとしておりましたらようやく駅に灯りがついて、始発列車のエンジンが回りだしました。汽車だからエンジンがうるさいのなんのって。今までものすごく静かだったので余計にうるさいです。改札口が開いて列車のドアが開いてやったこさ乗車したのは5:20でした。一番後ろの車両に座りました。列車は特急宇和海2号松山行、宇和島を出る最初の列車です。これで伊予市駅へ向かいます。
 乗ったら寝ました。そりゃもう、徹夜だもん。起きたら伊予大洲を過ぎたところでした。内子駅を出たところで速度がかなり上がったので運転席に行って速度計を確認すると120キロ。おお、さすがですなあ。速いっす。伊予市まであっという間でした。
 JRの改札口を出たら横断歩道を渡ってすぐのところに伊予鉄道郡中港駅があります。松山を中心とした私鉄です。今日は伊予鉄乗りつぶしますぞ。
 伊予鉄松山市内の市内電車(路面電車のことです)なら一日乗車券があるのですが今から乗る郊外電車(ごく普通の電車ですが伊予鉄では路面電車と電車をこういうふうに分けているようです)には一日乗車券がなくて自動券売機で横河原まで購入しました。伊予鉄の郊外電車は松山市駅を中心にT字になっていて今いる郡中港駅ともう2つの端っこは高浜駅横河原駅で、今から横河原駅まで行きます。

 これは郡中港駅を出て松山市駅まで行く電車です。3両編成です。乗客が減ってしまって伊予鉄も嘆いているでしょうが、まだまだ2両に減らすこともなく3両でがんばっているようですな。今日は土曜ですが、朝なので客は私以外にもけっこういます。よかった、よかった。
 がったんごっとんと走り出して、なにげない住宅やら田園やらを眺めつつ、松前町のショッピングモールの前に停車したりしました。そういえば、この車内も昨日宇和島から八幡浜まで乗った汽車の車内と同じにおいがします。なんなのだろうか。
 松山市駅に到着しました。ここから横河原線に乗車します。高浜から来た電車が松山市駅を終点とはせずに横河原まで行くようです。そいつに乗って横河原へ。ここで私は寝ました。やっぱ眠い。起きてられません。気づいたら横河原。改札口を出て高浜までのきっぷを買ってさっきの電車に乗って高浜へ。寝たらしばらく起きていられますなあ。冊子を読んで、そしたら乗客がけっこう増えました。よいことです。公共交通を利用しましょう。松山市駅に着いたらほとんどの客が降りて、車内はがらがら。そんな感じで高浜へ。松山市駅と高浜の間はなんと複線でした。横河原と郡中港へ行く路線は単線だったのですが。一部高架だったりします。
 高浜駅に着いたらまた同じように改札口を出てきっぷを購入しました。さて、この駅はすぐそばに港がありまして小さなフェリーが着いていました。松山には松山観光港という大きな港がありますがそこへ行くにはここからバスに乗り継ぎます。ということは目の前の小さな港は松山観光港ではありません。
 さて、ここからは松山市駅の2つ手前の古町駅まで参ります。そこから市内電車に乗り換えて市内電車をがっつり乗りつぶします。途中に遊園地があって、でも近々閉園するようです。ていうか、伊予鉄にも私鉄特有の沿線遊園地があったんですな。
 古町駅は郊外電車と市内電車のプラットホームがつながっていました。乗り換えは簡単です。また、古町駅は伊予鉄車両基地になっているようで、郊外電車と市内電車の車両がたくさん停まっています。郊外電車はどれもこれも古いですが1編成だけ新型がいました。

 土佐電鉄のときとよく似た昭和車両がやってきました。客は多くて座る余地はありません。車掌兼運転士に一日乗車券をくださいと言って300円で購入です。これもまた土佐電鉄と同様に乗車する今日の日付をけずりとる方式のものでした。大きさは違いますがデザインも似ています。
 さて、市内電車を乗りつぶすのは少々骨が折れました。短いですが、シータの形に盲腸線が2本くっついているのでねえ。それにシータの中の線が本数が30分に1本しかないのです。ほかの路線は頻繁に運行されていてだんご状態で電車が走っているのですけれど。というわけで、次々に乗り換えしていきまして、無事終了です。
 降りるときはバスと同様に降車ボタンを押して運転士に降りたい気持ちを伝えますが私が押したら音は「つぎとまります」の音はしたけど「つぎとまります」の電光掲示板が光らないのです。あれー、と思ってたら運転士は「降りる方はいらっしゃいませんか、通過いたします」というので慌てて「すみません、降ります」と言いました。ボタンが壊れてませんか。
 路面電車を次から次へと乗り換えていますと、同じ運転士さんの電車に2回乗りました。この運転士さんがとてもよい雰囲気の方でしてアナウンスがやさしいし。なんといっても。小さな子供が運転席の近くに座っていました。信号待ちの停車中にくしゃみをしたのですが、運転士さんが少し驚いた顔をして振り向くのです。くしゃみで振り向くなんて。でね、この運転士さんね、うちのクラスのビューティというあだなの子に似ているんですよ。ビューティ君はその名のとおりとても純粋といいますか、きれいといいますか、良い子なのです。驚いて振り向いたときの顔もビューティ君の驚いた時の顔と似ていました。ビューティ君は抱きしめたくなるような(いや、あの、男だけど、うちのクラスでは私以外も抱きしめたくなるって言ってたし……)子ですが、この運転士さんも……。ま、そんな運転士に二度目に会った時は少し恥ずかしかったです。
 伊予鉄乗りつぶしが完了してJR松山駅にやって参りました。予定よりも早く伊予鉄が終わったのでJRも早い時間の列車に間に合いそうだったので路面電車からJRまで走りました。そしたら、なんと、『瀬戸大橋が濃霧のためダイヤが乱れており、岡山、高松からの列車が10分遅れで参ります』ということは、今から私が乗る列車はその列車に合わせて遅れることになるのです。急いだ意味がなかったね。
 なんだかんだで朝通過してきた伊予大洲へ戻りました。伊予大洲では遅れた関係で走ることになり、急いで乗り換えました。乗り換えた列車は予讃線伊予長浜経由伊予市行の列車です。1両編成、ワンマンです。肱川おろしで有名な伊予長浜を通って海にせり出すようなところにある串駅に停まります。串駅って「秘境駅」のひとつなんですよ。だから、停車したときは席から立ち上がってどうなってるのか眺めてみました。海崖の上にホームがありますなあ。周りは何も無し。
 さて、ここから先は寝てしまいまして記憶がありません。気づいたら伊予市駅でした。で、この伊予市駅から今回の旅としては初のJR四国の電車に乗車します。土佐電鉄伊予鉄は電車ですが、JR四国はほとんど汽車です。でも、やっとこさ電車になりました。松山駅行の各駅停車です。汽車とちがって停車中はものすごく静かです。汽車みたいにゴーゴー言いません。加速がとってもスムーズです。苦しさを感じさせません。サクッと松山駅に到着して、ここからは特急しおかぜのグリーン指定券を発券してもらい、ついでにその先のグリーン指定券も用意しておきました。
 松山駅では1時間以上あるのでゆっくりできます。ごはんどうしようか、今日は深夜に食べたっきりまだ何も、です。松山駅って、何もないんですよ。周辺も何もないんです。松山の中心なのに、ねえ。
 本当の松山の中心は伊予鉄松山市駅でして、松山市駅なら百貨店やら商店街やらいろいろありますけども、JR松山駅は市中心部からちょっと離れていて、JRの長距離列車に乗るだけのところなんですよ。ごはんのおいしそうな店が見当たらなくて、結局、マクドです。私って本当にバカねえ。だって、店がないんだからしかたないじゃないか。
 新商品を注文しました。ところで、徳島のマクドナルドなら新商品のクォーターなんたらがあるのですが愛媛松山にはそれがないのです。あれ〜?同じ四国なのにどういうことかしら。
 そういえば愛媛に来てからやたらと猫を見かけました。駅やら駅の周りで。停車中の車両の屋根にいたり、車両の下からはいだしてきたり、駅前ではじっとたたずんでいたり。猫好きの私にはたまりません。ここでも猫を見かけました。マクドの向かいの喫茶店に猫がいまして行きかう人を眺めたりときどき喫茶店のドアに寄り添って喫茶店の中をのぞいていたり。あら、かわいい。丸々と太っていて栄養状態はよさそうです。
 マクドにいた子供たちがそれに気づいてハンバーガーを持って猫に差し出していました。猫にそんなもんをあげたらだめです。塩分が多いし。そしたら猫は食べませんでした。よしよし、いい子だ。私は知らない猫にはえさをあげない主義です。心を鬼にしてえさをあげません。
 私も、食べ終わって猫に近づいたのですが、逃げられてしまいました……
 さて、松山駅に戻りました。松山なのにホームでは「瀬戸の花嫁」が流れています。その音楽に合わせてJR四国の誇る電車特急8000系の登場です。岡山、高松からやって来て折り返しで岡山、高松へ向かいます。

 自由席の停まるあたりには長い行列ができていて高知の特急とはえらい違いです。指定席もだいぶ埋まるみたいです。乗客は多いようです。さて、車内ですが。これがすっごいんですよ。木材を多用した落ち着いた雰囲気で、まだ改装したての木の香りがします。自由席は改装していないようですが、指定席とグリーン指定席はもう、めっちゃきれいです。座席にも木材が使われていて、ゆっくりしすぎてしまうような感じです。8000系おそるべし。
 15:27、発車しました。岡山行の特急しおかぜと高松行の特急いしづちが連結されて運転していますから、乗り間違いのないようにというアナウンスがやたらと繰り返されます。私の乗っている車両は先頭車で、特急しおかぜ24号岡山行です。電車特急ですから、走行中にもかかわらずめちゃくちゃ静かです。車窓はどんどん後ろへ流れていくのですが、揺れることもなく静まりかえった車内環境です。こいつはすげえ。電車ってすごいね。先月に新幹線N700系に乗りましたがそれよりも驚きました。JR四国もがんばってるんですよ。
 気づいたら、寝てまして、起きたら愛媛県最後の停車駅川之江でした。海沿いに製紙工場が立ち並んでいます。それにしてもJR四国はほとんど単線ですが、単線って本当にきついですねえ。たぶんJR四国普通列車の本数を増やしたいという気持ちもあるはずなんですよ。特にこの松山と高松の間とか。でも、特急の本数を1時間に1本確保したいからこれ以上は増やせないのでしょう。JR四国はたいへんなんですよ。
 8000系はカーブでも速度が落ちません。カーブに入ると車体がひどく傾きます。傾斜装置がついているし、たぶんレールそのものも傾斜しているはずです。よほどのS字でなければ速度が落ちないです。高松行のいしづちとさよならして、なんだかんだで瀬戸大橋。8000系も先頭車からの眺めがたいへん良好です。で、JR四国の最後の停車駅岡山県児島駅です。ここから先はJR西日本の管轄です。私もここで降ります。JR四国バースデイきっぷJR西日本には通用しませんし、もともと瀬戸大橋は車でも電車でも何度も通過していますので。ここから快速マリンライナー香川県坂出に向かいます。松山駅で用意したグリーン指定券をこのマリンライナーで使います。マリンライナーは先頭車が二階建てになっており、一階は普通車指定席ですが、二階はパノラマグリーンになっています。ちょっと乗ってみたくて今日は児島駅までやって来ました。するとグリーン車はノートPCをいじるビジネスマンや雑誌を読みながらスナック菓子をさくさく言わせているビジネスマンでけっこう席が埋まっていました。その隣に座らせていただきまして、最高の眺望を楽しみました。ま、日が暮れて瀬戸大橋は暗いのですが。
 児島から坂出まではずっと瀬戸大橋で、途中に駅はありません。わずか一駅の快速マリンライナーパノラマグリーンでした。坂出はもう真っ暗。香川県第三の都市です。18時台ですので大勢のお客さんが乗り降りしています。駅のそばにあったスーパーで飲み物と菓子を買って再びホームへ。予定より1本早い列車に乗りました。終点多度津まで乗車です。多度津駅は愛媛へ向かう予讃線と高知へ向かう土讃線の分離する駅です。このあと阿波池田へ向かうのですが、阿波池田を経由して高知へ行く特急が接続しているということでなんだか予定よりものすごく早くなりそうなその特急に飛び乗りました。
 こいつは昨日何度も乗った特急南風です。岡山と高知を結びます。乗客は多いのですが、香川県内の停車駅善通寺と琴平で大半が降りてしまい高知まで行きそうな乗客はほとんどいなくなりました。香川から徳島県に入る土讃線は長いトンネルを通過します。もうすぐJR四国の全線を乗りつぶすときがやってくるのです。JR徳島線とJR土讃線の合流する佃駅を通過すれば四国内の鉄道は全制覇したことになります。
 佃駅通過。終了!! 四国乗りつぶし終了!! お疲れさまでした。
 阿波池田に到着しました。ここでも残り少なかった客がだいぶ降りて特急南風は空気しか乗っていない状態となりました。大丈夫なのか、土讃線。高知はピンチです。
 ここからは特急剣山で徳島へ。時刻表をよく調べていなかったので、こんなに早く帰宅できるとは予想していなかったです。いやいや。お疲れお疲れ。
 ちなみに四国の鉄道全制覇は嘘ですから。まだ、香川県の私鉄である琴平電鉄の琴平線長尾線が残っていますのであしからず。上記で「全制覇」とか言ってごめんね。ちょっと調子こきました。近いうちに琴平電鉄をつぶした四国制覇しましょう。
 長い日記を読んでいただきありがとうございました。